孫子の兵法

AIも孫子兵法?

2018-04-23

 これも孫子兵法家による孫子本である。孫子の兵法を21世紀の企業経営に応用する。これが孫子兵法家のミッションであり役割なのだが、まさにそれ。そのための本が、「AIに振り回される社長 したたかに使う社長」(日経BP社)である。本のタイトルに孫子とは書いてないじゃないか、孫子がAIなんて語るわけないだろ、と突っ込みたい人もいるだろうが、文句は本書を読んでから言ってもらいたい。読めば分かる。
 もちろん、紀元前500年にいくら孫子がすごくてもAIについて直接語っているわけではない。だが、AIやIoTを活用して実現すべき「フィードフォワード」については間違いなく語っていて、2500年前の孫子の言葉をそのまま現代の企業経営に当てはめたら「フィードフォワード経営」になったと言っても過言ではない。「本当かな?」と思う人は、是非読んでみて欲しい。
 表紙はこんな感じだ。

AIに振り回される社長 したたかに使う社長

 ちょっとタイトルは長い気がするが、装丁のデザインはなかなか気に入っている。AIやIoT、ビッグデータなどに翻弄され振り回される社長や企業と、それらの最新テクノロジーをしたたかに使いこなす社長や企業との対比が本書のコンセプトだ。それをよく表した表紙になっているのではないだろうか。
 書名には孫子は入っていないが、第6章では直接、孫子兵法についても触れている。紛れもなく、「孫子の兵法で勝つ仕事えらび!!」(集英社)に続く、孫子兵法家、長尾一洋による孫子関連本の第8作である。
 孫子は、

『明主・賢将の動きて人に勝ち、成功の衆に出づる所以の者は「先知」なり。』

 と説いた。先に知り、先に情報をつかむことが成功の秘訣なのだ。
 そして、

『未だ戦わずして廟算するに、勝つ者は算を得ること多きなり。未だ戦わずして廟算するに、勝たざる者は算を得ること少なきなり。算多きは勝ち、算少なきは勝たず。』

 と、事前に「廟算」すべきであると教えてくれている。これを先に知り先に考える「先知先考管理」と呼ぶ。さらにそれによって先手を打つ。

『勝兵は先ず勝ちて而る後に戦いを求め、敗兵は先ず戦いて而る後に勝を求む。』

 というわけだ。こうした孫子の兵法を現代の企業経営に当てはめると「フィードフォワード経営」となり、それを実践する最新の武器がAIやIoTということになるのだ。
 死んだ兵士や滅んだ国は生き返ることはない。済んだこと、過ぎ去った過去を振り返って「フィードバック」しても時すでに遅し。そうではなくこれから先の戦いに備えて先手を打つ「フィードフォワード」が必要なのであり、命がけの戦いを制する孫子の兵法の真髄なのだ。是非、本書をお読みいただきたい。

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