孫子の兵法

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孫子×DX DXは企業経営の大事

2024-02-15

 孫子が「DXするべきだ」と言うはずだ、孫子の兵法がDXに応用できる、と断言している以上、孫子13篇の中からDXに使えそうな部分だけをピックアップして、「ほら、孫子がこう言っているでしょ」と都合のよい切り取りをしたのでは説得力がないだろう。
 情報(間諜)を扱う用間篇だけを取り上げて、「孫子は情報を重視していましたよ」と言えなくもないが、それは13篇中の1篇の話に過ぎないことになり、「孫子の兵法がDXに応用できる」とまでは言えない気がする。
 そこで、私(孫子兵法家)が都合よく孫子の使えそうな部分だけを取り出して、孫子の兵法の趣旨とは関係なくDXに応用できると言っているに過ぎないと思われてはいけないので、孫子13篇に沿って、DXの進め方を解説して行くことにしたい。
 もちろん、孫子全篇に渡ってDXに使える内容だけが書かれているわけではないので、孫子全文を取り上げることはしないが、計篇、作戦篇、謀攻篇、形篇、勢篇、虚実篇、軍争篇、九変篇、行軍篇、地形篇、九地篇、用間篇、火攻篇からなる13篇の順に従って解説する。そのため、DXの進め方としては多少順番が前後したり、重複することにもなるが、2500年も前の兵法を元にしているわけだし、そもそも孫子自体も篇の順番には議論があるところだから、そこはご容赦願いたい。都合よく孫子を切り貼りしたり入れ替えたりしていないということをご理解いただければと思う。
 それでは、計篇から始めて行こう。
<計 篇>
 『孫子曰く、兵は国の大事なり。死生の地、存亡の道、察せざる可からざるなり。』
◆現代語訳
 「戦争は、国家にとって重要な問題であり、避けて通ることはできない。国民にとっては、生きるか死ぬかが決まる所であり、国家にとっては、存続するか、滅亡させられるかの分かれ道である。徹底して研究すべきことであって、決して軽んじてはならない。」
◆孫子DX解釈
⇒DXは企業経営を左右する大事である。成長か衰退か、存続か消滅かを分ける分岐点なのだ。徹底して研究すべきことであって、決して軽んじてはならない。

 孫子の第一篇、計篇の冒頭で、孫子は戦争が国の存亡を左右する重大テーマであると宣言した。今、まさに企業が生き残るか消滅するか、死生、存亡の分かれ道となるのが、デジタル化への対応だ。なぜなら、人口減少が今後ずっと続いて行くことがほぼ確実だから。少なくとも日本では、今社会人として仕事をしている人が生きている間に人口増に転じることはないだろう。
 人口減少となれば、働き手だけでなく、顧客も減る。システム化、デジタル化、機械化、自動化し、無人もしくは少人数で仕事が回る体制にして生産性を上げなければならない。それがDXだ。デジタル活用を飛び越えて、AI化、ロボット化も進めていくべきだろう。今現在、目の前にある仕事は人手によるアナログ処理で回っていても、5年後、10年後、20年後を考えれば、今、デジタル活用に舵を切って手を打っておかなければどういう結末になるか、自ずと答えは出るはずだ。これは経営の一大事である。
 その分岐を、DXと呼ぼうと何と呼ぼうと名前はどうでもいい。今はたまたまDXという言葉が広まっているだけだ。名称がどうであれ、真剣に取り組むべき重要課題であることは間違いない。
 経済産業省のDXの定義「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」を見ても、「データとデジタル技術を活用して」の部分をカットすれば、企業が存続するための当り前のことしか書かれていない。人手も足りなくなるのだから、データとデジタル技術を活用して何とかするしかないのだ。
 「DXは企業経営を左右する大事である。」まずこのことを肚落ちさせてから、先に進もう。

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