孫子の兵法

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孫子×DX DX成功のための5条件

2024-04-16

 ここまでの流れを受けて、孫子は勝利のための5つの条件を提示している。この5条件もほぼそのまま現代のDXに当てはまる。

<謀 攻 篇>
 『勝を知るに五有り。以て戦う可きと、以て戦う可からざるとを知る者は勝つ。衆寡の用を知る者は勝つ。上下の欲を同じうする者は勝つ。虞を以て不虞を待つ者は勝つ。将の能にして君の御せざる者は勝つ。此の五者は勝を知るの道なり。』
◆現代語訳
 「勝利を得るために知っておくべきポイントが5つある。1つは、戦うべき時と戦うべきではない時の見極め。2つ目は、大部隊と小部隊の任用、運用方法の違いを知ること。3つ目は、上下の情報共有と意思疎通ができていること。4つ目は、事前の計画や段取りが周到で敵を待ち受ける準備ができていること。最後に5つ目は、将軍が有能であって、君主が過剰な口出しをしないことである。この5つが、勝てるかどうかを見極める上での要点である。 」
◆孫子DX解釈
⇒勝利を得るために知っておくべきポイントが5つある。1つは、戦うべき時と戦うべきではない時の見極め。2つ目は、大企業と中小企業の戦い方の差を知ること。3つ目は、上下の情報共有と意思疎通ができていること。4つ目は、事前の計画や段取りが周到で敵を待ち受ける準備ができていること。最後に5つ目は、DXリーダーが有能であって、社長が過剰な口出しをしないことである。

 どうだろうか。多少言葉を置き換えるだけで、ほぼそのまま通用することが分かるだろう。DXを成功に導くための要諦が、2500年も前の兵法に記されていたと言うと何だか不思議な感じもするが、何千年程度の歳月では人の本質は変わらず、人の集合体である組織の動かし方も組織同士の戦い方も変わっていないということだろう。
 DXも、デジタルを活用するという点では紀元前とは違うけれども、戦うための手段、方法に過ぎないのだから、特別視するのではなく、孫子の兵法が何を言わんとしているのか、その本質に迫る姿勢を持てば、自ずと答えが見えてくるわけだ。
 改めて、DXを成功に導くための5つの条件として整理すると、
①時流や技術の進化を読み勝負どころを知る
②中小企業と大企業の戦い方の差を認める
③経営陣のコンセンサスと社員全般の意識統一
④戦略ストーリーが明確であること
⑤DXリーダーと経営者の信頼関係
 となる。これまでに説明して来た内容で概ねご理解いただけると思うが、③の経営陣のコンセンサスと社員全般の意識統一について、少し分かりにくいかもしれないので補足しておきたい。
 ここで言う、コンセンサスや意識統一とは、DXに関してではなく、そもそもその企業がどういう目的で何を目指しているのかという点についての同意であり合意であり納得である。DX、すなわちデジタルの活用による自社の変革に関しては、未だこの段階では半信半疑で良いのだ。DXによって自社がどう変わるのか、どう成長して行くのかはまだハッキリとは見えていなくていいし、見えていないものについて合意することもできないのは当然である。
 だが、その手前、その根本にある、自社の目的や使命感、今風に言えばパーパスやミッション(ただ英語にしただけの経営バズワード)について経営陣がまず同意し、共有し、その実現に対して結束しているかどうかが問われる。そしてさらにそれが全社、全社員にも共有され、共感され、同志としての実感が生まれているかどうか。それをここでは問うていると考えると良い。
 DXはそのための手段に過ぎないし、デジタルは道具であり武器に過ぎないから、何を目指してどうトランスフォームするのかを考えるためには、その根本にある目的や使命がなければならない。
 ただ流行に乗り、DX事業部やDX推進室を置いて、デジタル活用をやっている感を出しているだけではダメだということがここでも分かるだろう。
 孫子の兵法にデジタルがどうのと具体的にDXのことが書かれているわけがないが、孫子の兵法がDXや企業経営に応用できるものであることをここで改めて認識しておいていただきたい。

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