孫子の兵法

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ONE TEAMも孫子の教え?

2019-12-04

 2019年の「ユーキャン新語・流行語大賞」の年間大賞にラグビー日本代表が掲げた「ONE TEAM」が選ばれた。ラグビーW杯での日本代表の活躍を受け、ラグビーが盛り上がっている。とは言うものの、流行語にノミネートされた30候補のうち、ラグビー関連が5つもあって、ちょっと多過ぎな感じもある。最近のことだから記憶に鮮明なだけではないのか。
 「ONE TEAM」以外に、「ジャッカル」「にわかファン」「4年に一度じゃない。一生に一度だ。」「笑わない男」が候補として挙げられていたわけだが、まだ年間を通じて流行したという実感はないのではないか。まさに「にわかファン」状態。この「にわかファン」が定着するかどうかがラグビー界にとっては重要だろうが、来年はオリンピックもあるし、「にわかファン」が他の競技に流れかねない。
 さて、この「ONE TEAM」という言葉だが、ジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチが就任して1カ月後の2016年10月28日に、欧州遠征メンバーの発表会見で初めて遣った言葉だそうだ。
 この時のメンバー構成が、前回の2015年W杯代表から12人で、初代表選出は17人という新旧メンバーが混在する状態だったということで、「一体感のある組織を目指そう」と選手らも加わって決めたものを、ジョセフヘッドコーチが発表したということらしい。
 今回2019年大会での日本代表は、7カ国15人の海外出身選手を含む31人。まさにダイバーシティ。日本国籍がなくても日本代表になれるというラグビー独特のルールが、日本人だから、日の丸を背負うからという分かりやすい求心力を使えなくしているだけに、より「ONE TEAM」であることに価値があったのだろう。
 「ONE TEAM」になった組織は強い。だから孫子の兵法にはこういう教えがある。

『古の善く兵を用うる者は、能く敵人をして前後相及ばず、衆寡相恃まず、貴賎相救わず、上下相扶けざらしむ。卒離れて集まらず、兵合して斉わざらしむ。』

 昔から戦上手な将軍は、敵の前衛と後衛の連携を断ち、大部隊と小部隊が協力し合わないようにし、身分の高い者と低い者が支援し合わないようにし、上官と部下が助け合わないように仕向けて、敵兵が分散していれば集結しないようにし、集合したとしても戦列が整わないように仕向け、戦闘が有利に進められるようにしたものだという教えだ。
 まさに敵を「ONE TEAM」にさせない、敵が「ONE TEAM」であったならそれを引き裂いて分断させよという教えである。
 すなわち、ラグビー日本代表の「ONE TEAM」というスローガンは、孫子の兵法の逆利用ということである。個々の能力が高く、個々が強くても、その連携が悪く、協力して動けないなら、組織として強くはなれない。孫子には、敵同士が協力する「呉越同舟」という教えもあるが、味方同士でも多種多様な人材が集まればベクトルもバラバラになりがちなところを、一つにまとまって「ONE TEAM」になった時、1+1が2ではなく、3にも4にもなるような結果を生むのだろう。
 皆さんの組織や会社も、2020年に向けて「ONE TEAM」になれるようラグビー日本代表に倣って合宿でもしてみてはいかがだろうか。

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