孫子の兵法

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孫子×DX 拙速を尊ぶノーコード

2024-03-07

 IT化やデジタル活用に消極的な経営者の多くは、時間もコストもかかった割に大した効果も出なかった、システム導入の古い記憶が頭にこびりついているように感じる。今や自社にサーバー(と言っても分からない人は大きなパソコンと考えよう)を置く必要もなく、クラウド(インターネット上の)サービスを利用して、一括で投資(ゼロからシステムを作る開発費負担)をしなくても月額料金を払うだけで良くなっている現実を知るべきである。
 「そんなことは分かっているけれども、自社にはそれが分かる人材がいないから、仕方なく案外高い費用をシステム業者に支払っている」と思った経営者は、そのシステム業者にカモにされている可能性があるので気を付けよう。デジタル人材もいないから業者の言うことの正否が判断できず、言いなりになっているのかもしれない。今やノーコード(ノンプログラミング)ツールが出回っていて、プログラムを書いたりしなくても、自社に合わせたシステム運用ができるサービスもある。デジタル人材などいなくてもデジタル活用ができるのだ。
 ノーコードを使えば、自社でシステムの開発、改良が出来るから、対応スピードは格段に速くなるし、コストも安く抑えられる。ゼロからプログラミングして作った方が完成度は高くなるが、どうしても時間もコストもかかってしまう。そんなことなら拙速を尊ぶノーコードを選択すべきなのだ。それが孫子の教えだ。

<作 戦 篇>
 『兵は拙速を聞くも、未だ巧久なるを賭ざるなり。』
◆現代語訳
 「戦争には多少拙い点があったとしても速やかに事を進めたという成功事例はあるが、完璧を期して長引かせてしまったという成功事例はない。」
◆孫子DX解釈
⇒完璧を目指して考えてばかりいるよりも、まずやってみる、ノーコードで試してみることが重要。

 DXを進める時に必要なことは、外部に依存せず、自社で試行錯誤が繰り返せるようになることである。デジタルという武器を手に入れるだけでなく、その武器を使いこなすことが重要だからだ。デジタルを使いこなすには、プログラミングが出来るデジタル人材が必要だ、となるのだが、そんな人材はいないし、リスキリングで育てようと思ってもハードルが高い。万が一、リスキリングに成功したり、元々パソコンオタクみたいな社員がいて、やらせてみたら凄かったということがあったとしたら、その人はDXブームに乗って他社へ転職して行くだろう。
 だから、デジタル人材がいない中小企業はノーコーダーを育てるべきなのだ。ノーコードツールであれば、デジタルに詳しくなくてもちょっと勉強すれば使えるようになる。そもそも素人でも使えるように作られているのだから・・・。そして、非デジタル人材向けのマニュアルや動画教材などが準備されていることが多い。
 ちょっとITに詳しいといった程度のシステム担当者よりも、実務に詳しく自社のことを本気で良くしたいと考えてくれる人材をノーコーダーとして育てるべきである。そもそもDXを進めるには、デジタルの知識や技術だけでは不十分である。いくらプログラムが書けても、業務をどう変えるか、その業務がどうあるべきかを考え、他の社員を巻き込んで業務改革を進めて行けるかどうかは別問題だからだ。
 ちょっとITに詳しいからと、アナログ社員を下に見て、「うちの社員はリテラシーが低いから」などと批評家のような発言をする中途半端なデジタル人材など害悪ですらある。それよりもノーコーダーがいい。ノーコードでるが故の制約はあったとしてもノーコードで素早く、コストをかけずにアジャイル開発できる方がいい。
 デジタル人材がいない中小企業のDXは拙速を尊ぶ。

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