孫子の兵法

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コンタクトレス・アプローチと営業の見える化

2020-12-04

 「コンタクトレス・アプローチ テレワーク時代の営業の強化書」(KADOKAWA)の出版から出版記念セミナー、増刷記念セミナーの開催までの経緯をご紹介して来たが、おかげさまで多くの方にセミナー受講いただき、コンタクトレス・アプローチに取り組もうというクライアント企業も増えて来た。
 そうこうしている内に、コロナウイルスの感染第3波がやって来て、GoToキャンペーンが制限され、飲食店等の営業時間短縮要請なども出て、企業には改めてテレワークが推奨されている。こうなると、やはり営業活動において客先への直接訪問や出張はしにくくなり、在宅勤務となったら身動きがとれず、法人客が在宅勤務になったら訪問したくてもできなくなって、コンタクトレス・アプローチの出番となる。
 コロナの感染が広がって欲しいわけではないのに、コロナ騒動が大きくなることでコンタクトレス・アプローチの出番が増えるから、何だか感染拡大を喜んでいるように思われるかもしれないが、そんなことはないので誤解の無いようにお願いしたい。
 この調子では、年が明けてもコロナ騒動は続くことになるだろう。ワクチンもできて来るし、いずれ収束することにはなるだろうが、急にゼロになったりはしない。やはりコンタクトレス・アプローチができる状態にしておく必要があるし、このコロナ危機を機会として活かすことを考えて、コロナを言い訳にできる内にコンタクトレス・アプローチにチャレンジしていただきたい。
 そこで今回は、コンタクトレス・アプローチを進めて行く上で必要となる営業の「見える化」について考えてみたい。孫子は、

『君の軍を患わす所以の者三あり。軍の以て進む可からざるを知らずして、之に進めと謂い、軍の以て退く可からざるを知らずして、之に退けと謂う。是を軍を縻ぐと謂う。三軍のことを知らずして、三軍の政を同じうすれば、則ち軍士惑う。三軍の権を知らずして、三軍の任を同じうすれば、則ち軍士疑う。』

 と教えてくれている。「君主が軍隊に患いをもたらす3つの原因があることを知っておくべきである。まず1つ目に、軍が進撃してはならない状況にあるのを知らずに、進撃せよと命令し、軍が退却してはならない状況にあるのを知らずに、退却を命令するようなことでは、軍事行動を阻害し、拘束しているに過ぎない。2つ目に、軍の内情をよく知らないのに、軍内の統治を将軍と同じようにしようとすると、兵士たちはどちらの指示命令に従えば良いのか惑うことになる。3つ目に、軍における臨機応変の対応に通じていないのに、将軍と同じように現場で指揮を取ろうとすると、兵士たちは疑念を抱くようになる。」という意味だ。
 企業に置き換えて、ザックリ言えば、「現場のことも良く分かっていないのに社長があれこれ口出しをするなよ」ということになる。たしかに、現場のマネージャーもいるのに、現場の実態を見もせずに過去の経験に基づいて社長が具体的に口出しをすると現場は混乱し、中間のマネージャーは立場が無くなってしまう。
 一番良いのは、社長が黙って、マネージャーがしっかり現場を動かして成果を出してくれることだ。そうなったら、社長もいちいち口出しする必要もないし、黙っていろと言わなくても黙っているだろう。
 問題は、中間のマネージャーが育っていない、いても役に立っていない状態で、成果も出せていないとなった場合だ。多くの中堅・中小企業は人材の層が薄くてそうなっていることがほとんどだ。そこでどうするか。
 黙っていたら成果も出ず、経営が立ち行かないとなったら、口出しするに決まっている。あるべき論をいくら言っても会社が行き詰まったらそれで終わりだ。だから孫子も、君主は一切口出ししてはならないとは言っていない。現場の状況を見ず、現場の内情を知らず、現場の動きも分かっていないのに、口出しすると害悪だと言っているのであって、現場を見て、内情をつかみ、動きを理解していれば、口出しして問題なし。
 そこで必要になるのが営業の「見える化」だ。コンタクトレス・アプローチが中心になって、テレワークが当り前になればなるほどしっかり現場を「見える化」しなければならない。これまでは、営業の「見える化」を提案しても、規模が小さく営業担当者の数も少ないような場合には、「見えている」「分かっている」「直接話しているから大丈夫」と抵抗されることがあったが、これからは、小さくても少なくても、上司と部下もなかななか会わないし、出社もして来なければ動きも見えないから、敢えて「見える化」する努力が必要だ。「コンタクトレス・アプローチ」を読んだら、続けて「営業の見える化」も読んでもらいたい。改めて「営業の見える化」が大事であることを実感してもらえるはずだ。

『営業の見える化』『まんがでできる 営業の見える化』


 文字を読むのが嫌なら、マンガ版もある。すべての商談に同席するわけにはいかないのだから、何らかの手段で現場の状況を掴まなければならない。それを営業会議の口頭報告で済まそうとするようなことが一番ムダだ。適当なことを言ってごまかせるし、そこで発言したことが顧客別に整理されるわけでもない。ただ営業担当者個々の言い訳を聞き、仮にそれを議事録にしたとしても後で読み返す価値もないだろう。営業を「見える化」するとは、顧客を「見える化」することであり、戦略実行の現場を「見える化」することである。決して営業担当者の行動管理であってはならない。  テレワーク、コンタクトレスの時代にこそ「見える化」が必要となる。それが孫子の兵法を実行することでもある。

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