孫子の兵法

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電帳法対応でも孫子は水に象る

2021-10-28

 令和3年度の税制改正によって、電子帳簿保存法(略称:電帳法 正式名称:電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律)が改正され、令和4年1月1日に改正電子帳簿保存法が施行される。現状、電子データで会計帳簿などを電磁的記録によって保存しようとすると、事前承認が必要で、紙の書類をスキャンして保存する際のルールも厳しく、おまけにコストがかかるタイムスタンプを付与しなければならないといった要件があって、電帳法に対応する企業はごく少数に限られている。だが、令和4年からは、大幅に要件が緩和され、タイムスタンプを付与しなくても良い方法が認められるようになるのだが、同時に一部が義務化される。
 これまでは「やりたかったらやっていいよ」というものだったのに、これからは「必ず対応せよ」というものになるわけで、電帳法に関わる業務をシステム化する事業者は法的に義務化され確実に拡大するマーケットを前にしていきり立って「電帳法対応」を訴えている。
 私、孫子兵法家が経営するNIコンサルティングでも、月額360円で経営を変えるグループウェア「NI Collabo 360」の中に、経費精算機能、支払管理(請求書管理)機能を標準装備している関係上、この電帳法改正に対応せざるを得なくなり、「電帳法対応」を小さな声で訴えている。なぜなら標準装備なので、電帳法対応しても1円も売上は増えないから(笑)。むしろ、1月からはこれまで税別で360円だった月額を税込360円に値下げするから、機能は増えて値段は下がる・・・。それはさておき・・・
 なぜ、これまで電帳法に対応して来なかったのに今回の改正で対応することにしたのかと言うと、これまではあまりにも運用ルールが煩雑でタイムスタンプのコストもかかって、証憑数の多い大企業ならまだしも中堅・中小企業では対応するメリットがなかったから。それが改正されて、ルールが緩和されタイムスタンプを付与しなくてもスキャンして原本の紙を廃棄することが出来るようになるというので、対応するわけだ。
 従って、「電帳法対応」はするが、タイムスタンプは付与しない。しかし、そもそも経理システムや経費精算などの専門システムを販売している事業者にはタイムスタンプがあり、その分当然コストは高くなるが「電帳法対応」を分かりやすくアピールできる。
 私は、せっかくタイムスタンプなしでも「電帳法対応」出来るように法改正されたのだから、そこを利用してより低コストで「電帳法対応」できるようにするべきだと思うが、派手さがない・・・。地味である。他社は、分かりやすくアピールし、TVCMなどもバンバンやっていると言うのに・・・。これではせっかくの善意が踏みにじられる。
そこで、孫子の兵法だ。前置きが長くなったが、ここからが本番。孫子は、

『兵の形は水に象る。水の行は高きを避けて下きに走る。兵の勝は実を避けて虚を撃つ。』

 と言った。軍の形は水に喩えることができる。水は高いところを避けて、低いところへと流れるが、同様に、軍も敵の兵力が充実した「実」の地を避けて、手薄になっている「虚」の地を攻めることで勝利を得るものだという教えだ。
 「電帳法対応」の領収書や請求書をスキャナ保存しタイムスタンプを付与するといった見映えがして分かりやすい領域には、多数の競合がひしめき合っている。これが孫子で言うところの高い場所であり、「実」である。そこを避けて、低い場所、「虚」を撃つのが孫子兵法家だ。ではその「虚」はどこにあるのか?
 見積書の発行及びその控えデータの保存である。
 どういうことか説明しよう。会計システムベンダーや経費精算や請求書処理業者が集まりひしめき合っているのは、電帳法における「電子帳簿等保存」「スキャナ保存」という区分、領域だ。この領域が分かりやすいし電帳法の中心と言っても良いのだが、この2つの区分は義務化されていない。紙のままで保管しても良い領域である。今回の改正で義務化されたのは、「電子取引」である。国税庁によると電子取引とは、「取引情報(取引に関して受領し、又は交付する注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類に通常記載される事項をいいます。)の授受を電磁的方式により行う取引をいい(電子帳簿保存法2六)、いわゆるEDI取引、インターネット等による取引、電子メールにより取引情報を授受する取引(添付ファイルによる場合を含みます。)、インターネット上にサイトを設け、そのサイトを通じて取引情報を授受する取引等が含まれます。」とされていて、要するに紙という媒体を介さずにWEB上のサイトやメールでやり取りされる取引がすべて「電子取引」となる。
 この領域は、対象となる書類や証憑が特定されておらず何が来るか分からないので、特定の処理パッケージシステムがない。だから、とにかく何でも保管しますというサービスしかないのだ。ここが義務化されたのに・・・。
 さらにその中でも、扱いに困るのが、見積書の発行及びその控えデータの保存である。受け取る見積書は支払に回すから経理部門に行くが、発行する見積書は営業部、それも個々の営業担当者のPCに控えデータが入ったままだったりするはずだ。7~8割の企業では、Excel見積書が横行している。担当者がExcelで作成し、ロクに承認も経ずに、PDF化してメール添付で客先に提出したりしている。これが立派な「電子取引」に当たる。
 このExcelで作った見積書がどこにいつ提出されたかを経理部門で把握することが出来るだろうか?全体の総件数を把握することも出来ないから、一部が集まったとしてもヌケモレがどれだけあるかも分からない。そして、この領域はExcelが幅を利かせていて、一部、会計システムや販売管理などに付随的に作られた見積作成システム以外には専門システム会社はいないのだ。すなわち、敵がいない「虚」なのだ。
 孫子の兵法を駆使するならば、当然この「虚」を撃つべきである。孫子兵法家は、ここにSales Quote Assistant(SQA)という見積書作成支援システムを用意している。電帳法対応大戦争の血みどろの戦場に、ポッカリと空いた穴、敵がいない「虚」に狙いを定めて攻め込む武器が見積書作成支援システムなのだ。
 Excel見積書には、義務化以前に多くの問題があるから、電帳法対応を機にSales Quote Assistant(SQA)を導入して見積業務改革をすると良いだろう。「電帳法対応」と声高に訴えたりしないので、WEBサイトで研究していただきたい。

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